Why don't you eat one, then!

我が家のばぁちゃんは変わっている人だったそうな。孫の私たちにはあまり分からなかったけれど、大人たちは分かっていた模様。それでも血のつながりは水より濃いため、多少の変人ぶりは血縁者にとってはあまり気にならない。背中がひん曲がってただでさえ小柄な姿が更に小さい。そのわりに言いたいことがあれば言う。ただ、嫌味だか皮肉だか、本音であっても憚られるようなことも言って相手を「うっ」「むっ」と思わせてしまうことがあったようです。変人だったばぁちゃんが私の目にはあまり変人だとは映らなかったのは、転勤で遠くへ行ってしまった息子家族のことを思って俳句を詠み、それを新聞へ投稿したり。土間からお座敷の上り口に必ずちょっとしたお花を活けて、そのお花の横に色紙にしたためた句を一緒に飾ったり。それを「拙い字じゃからそげんに見んでええで」と。そういう情緒的なことをする面もあったからでしょう。

夏休みになると小学校からの課題で「戦争体験を聞いてくる」というものがありました。テレビでもその時期になるとそれもう常に特集が組まれていたので私の世代であれば無意識でも当時のことは耳や目に入ってきます。それでも課題として話を聞いてきて、内容を書いてまとめて提出するとなると、お年寄りに聞いてくるより仕方ありません。双方の祖父母に聞いたりしました。

食べる物がなくてイナゴを食べた話も聞きました。今ほどの性能の良い自転車ではなく、重くてクッション性のない自転車を必死でこいで、空爆がくる中、遮るものもない中、自転車をこいで自宅を目指したとか。ふとある瞬間にそのばぁちゃんが言いました。「なんでそんなことを言わにゃあおえんのんかな。思い出しとうもないわ」(※注:方言炸裂中)

今年の8月15日は台風が本州直撃とあって災害に備えたテレビ報道でした。お盆帰省や遠出をする人のためにテレビは空路や陸路の情報をずっとです。その中でひっそりと終戦記念日らしい番組が入っていました。かく言う我が家も今日は終戦記念日だ、としみじみと振り返っていません。

あとで調べましたが、イナゴって実は昆虫の中でもタンパク質があり栄養価は高いそうです。こんなことを言うとばぁちゃんに「ほんならアンタが食べてみぃ」と言われそうです。

Ayumi IwataComment